フィルム写真のみを対象に、プロもアマも同じ土俵でチャレンジする、ユニークな「美しい風景写真100人展」。主宰者である石川薫氏をお招きしてスライド&トークセミナーを開催。「100人展に見る風景写真表現の今」について伺った。作品を大画面に映しての丁寧な解説に興味深々、心に残るポイントを振り返る。
ワンチャンスを大切に
オーソドックスな風景と思っても簡単に撮れるものではない。光の動きを見、空気感を読み取り遠近感に生かす。その時しか撮れない風景をすみずみまでしっかり画面に収める。
想像させる
自分の表現はそのままには伝わらない。人それぞれ伝わり方は違う。タイトルが方向付けになり、想像が膨らんで物語になることもある。
個性的なとり方を
たとえば、写り込みをどう捉えるかによって作品の印象は異なってくる。当たり前の撮り方にとどまらず、その人なりの見方で面白い写真にトライする。人々の感じる美しい風景が広がることにもつながる。
臨機応変に
ねらいすぎるとそれしか見えなくなることもある。一瞬の状況の変化にも、ベストなタイミングで対応することも大切。
フィルムへのこだわり?
ねらった表現に早くたどりつくにはデジタルは便利である。フィルムでは自分のイメージを越える微妙な色の表現になることもある。どちらが良いとは言い切れない。それぞれの特徴を理解して生かす。
身近な風景
季節、天候が変わっても、いつでも、何度でもトライできる地元の風景を大切にする。花や紅葉などピークばかりが良いのではない。東北は日本の風景を特徴づける地域でもある。自分の周りの新たな美しさ、心の絶景を求めて、努力して発信する。
100人展の作品に接し、感動と夢を胸に、次の一歩を踏み出そう。(秋葉健一記)
《セミナーの状況と作品の一例》(写真をクリック←→で移動します)